6/19  『明日もまた、同じ日が来るのだろう。』



6/19  『明日もまた、同じ日が来るのだろう。』

太宰治の短編『女生徒』をつい先日読んだのです。
ある少女が、一日の内に感じたこと、考えたこと、思うこと、それらを次から次へと移る話題の中で、止め処なく綴っていく物語。
もう50年以上前の小説なんですか。
とてもそんな昔のものとは思えないくらい、すらすらと頭に入ってきます。

眼鏡をとって、遠くを見るのが好きだ。全体がかすんで、夢のように、覗き絵みたいに、すばらしい。

少女と言うべきか、思春期と言うべきか、綺麗なモノに焦がれる気持ちと、醜いモノを忌避する気持ち。
自分の中にある汚いモノを、憎んで、嫌悪して、けれど上面では涼しげにやり過ごして。

こんなくだらない事に平然となれるように、早く強く、清く、なりたかった。

弱い自分を恥じて、強さや、正しさといったモノを望む。

明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。

おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか? もう、ふたたびお目にかかりません。

ずいぶんと印象的な一文で締め。
実に面白かったので是非一読あれ。
太宰治 『女生徒