12/27  何もせずとも歳はとる



12/27  何もせずとも歳はとる

昔から夢見がちな性格ではあったと思う。

アニメの中で、あるいは漫画の中で、夢に燃え、恋に焦がれ、そしてそれらを叶えるキャラクターたちを見続けてきた結果、世の中には物語もきっとどこかには実在していて、ともすればそれは自分にもやってくるかもしれない、いや、きっといつかやってくるはず、と心の奥底では思うようになっていた。
もちろん魔法やら何やらの不思議方面の話ではなく、現実路線の話だが。

今回、伝えたいのは私がいかに夢見がちなロマンチストかということでなく、いよいよもって、自分は夢を見続けることが出来なくなってしまった、ということだ。
やたら仰々しい物言いではあるが、実のところなんていうことはない、ただ三十路が目前に迫ったというだけのことだ。

二十代が終わり、『若者』で無くなる。
人生の行く先を定め、外れぬように進み始めることを意識する年齢。
人によっては「何のそれしき、三十路だからなんだ。人生は長いのだ、諦めなければ、求めるものも得られよう」などと仰るかもしれない。
けれど、私の求めるものは、とうの昔にその機会を失っていたのだ。

このあいだ、何気ない会話の端に歳を聞かれ、そのとき初めて思い至ったことがある。「あぁ……自分ももう三十になるんだ。昔に思い描いていたに、もうなっていたんだ」と。
いつかやってくるはずだったアレコレは結局、今日までやって来なかった。
あるいはチャンスはあったかもしれない。それこそ青春真っ盛りの時分にもう少し頑張っていれば、未来は、現在は大きく違ったものになっていたかもしれない。

別段いまの自分が嫌なわけではない。ただ追い求めたものがもう手に入らないことだけが気がかりなだけで、もし手に入っていたとしたら、その時はまた別の憂いに気を揉んでいただけのことなんだろう。
自由に好き放題生きてきた結果を否定するほど無責任になるつもりはない。

この愚痴のような後悔のような吐露された心情を読まれた方が、求めるものに手が届く位置にいるのであれば、どうか手遅れにならないうちに行動なさいますように……。